一麹ニ酛三造り
早速、丁稚の学びの手引書より引用です。
米と水そして種麹の3つがそろえば、いよいよ酒造りにとりかかれます。
酒造りでは、昔から「一麹ニ酛三造り(一こうじ、二もと、三つくり)」といわれてきました。
これは、重要工程を端的に表現した言葉です。
まず「麹造り」、次に「酛(酒母)造り」、そして「醪(もろみ)を仕込む」の3ステップ。
中でも、最重要なのが「麹造り」です。
〈丁稚注:その中でやはり「麹造り」が最も大切であることもこの言葉は表しています〉
酒造りの基本工程は次の通りです。
① 精米
② 洗米
③ 蒸米(むしまい)
④ 麹造り
⑤ 酛造り
⑥ 醪造り
⑦ 搾り(しぼり)
⑧ ろ過・火入れ
⑨ 貯蔵・瓶詰め
『④ 麹造り』の手順〈丁稚編集〉
④-1 種麹を蒸米に振りかける
④-2「床もみ」(蒸米をもみほぐす)
④-3「切り返し」(固まりをほぐす)
④-4 別の容器に拡げる(温度上昇抑制)
④-5 仲仕事(攪拌作業)
④-6 仕舞仕事(攪拌作業)
④-7 麹室から出す(出麹)
④-8 一昼夜冷やし乾燥(枯らし)
麹菌の増殖が始まると、品温と湿度が一気に上がり始め、水分もどんどん出てくるため、数時間置きに手入れや積み替えによる品温、湿度の調節は欠かせません。
二昼夜から二昼夜半かけて完成のときを迎えます。
さて、種麹を専門に扱う専門店があります。
写真は、その一つ石黒種麹店さんの写真です。
(同社HPより引用・編集させていただきました)
石黒種麹店さんは、富山県の福光町で伝統的な方法で種麹を作る店を開いています。
種麹はかぶら寿司には欠かせない材料ながら、このような店は既に全国に八軒、北陸ではただ1軒になっているとのこと。
石黒種麹店さんは、漫画『美味しんぼ』やNHK『ためしてガッテン』などでも紹介されています。
麹菌による「日本酒・焼酎」「醤油」「味噌」などの醸造技術は世界に誇るべき、日本の最も古くからあるバイオテクノロジーです。
近年の科学分析・遺伝子解析で、これら古来の製造技術が実に理に適っているということが数々証明されております。
昔の人々は本当に偉かった。
今回の学びの中で「国菌」が「国花」「国鳥」のように存在することを知りました。
三つ指定されたうちのひとつが日本酒造りの「黄麹」です。
丁稚は、この素晴らしい伝統・文化に飲食でしか貢献できませんが、無理のないよう精々頑張ります。
今夜も飲むぞ‼
学びの手引書
『日本酒の科学 水・米・麹の伝統の技』
(和田 美代子著)
- 発売日:2015年09月18日頃
- 著者/編集:和田 美代子、高橋 俊成
- レーベル:ブルーバックス
- 出版社:講談社
- 発行形態:新書
- ページ数:320p
- ISBN:9784062579353