紛らわしい米だけの酒
スーパー・コンビニでよく見かける『米だけで作った酒』というのは、実に紛らわしい。
『米だけ・・・』それなら『純米酒(特定名称酒)?』と誤認してしまいそうですが、実は普通酒が多く混じっている。
何が違うのと聞かれて、正確に答えられますか?
結論を先に申し上げましょう。
【普通酒規格】
- 規格外の米・屑米・米粉などを原料としている
- 麹米の使用割合が15%未満
- 規定以上の量の醸造用アルコールを添加している(★白米の総重量の10%以上)
- 甘味料、酸味料、アミノ酸類などを原料に使用している
以上のどれかに該当すると普通酒となります。
【日本酒の規格の変遷】
丁稚がお酒が飲めるようになった頃、日本酒は特級・一級・二級という級別制度の時代でした。
そして、1991年(平成3年)に日本酒級別制度が廃止となり、特定名称酒と普通酒に区分けが始まりました。
2003年(平成15年)12月31日までの間は、「純米酒」は「精米歩合が70%以下のもの」と法的に規定されていました。
当時は精米歩合が高いほど高級酒という通念があったからです。
しかし、この規定は2004年(平成16年)1月1日に削除となり、これ以降、消費者が困惑することになったのではないかと思います。
平成15年10月31日「清酒の製法品質表示基準」の一部改正
- 純米酒の製法品質要件から「精米歩合70%以下」削除。
- 特定名称酒の製法品質要件に「こうじ米の使用割合15%以上」追加。
なお、純米酒を含む「特定名称酒」は原料の制約があります。
「麹歩合15%以上」「※規格米使用」の2つです。
- 農産物検査法に基づく「米穀検査」で、「品位検査」で「一等級」から「三等級」及び「規格外」に分類する。がこの判別基準は「含有水分」を除くと「整粒割合」及び「異物混入」等の外観検査であり、「食味」等の品質ではない。
【近年の状況】
日本酒の総生産量に占める特定名称酒の割合が年々高くなる傾向にあります。
とはいうものの、普通酒の割合の方がいまだに上で、2016(平成28)年時点においても、その割合は約67%を占めている。
酒蔵の中には、東京など都会の大消費圏マーケット向けには特定名称酒を造っていても、地元用には普通酒をメインに造っているところも多いようです。
地元の人たちの間では普通酒は、日常の晩酌用のお酒として、長年にわたって日々の生活に寄り添ってきました。
学びの手引書
『日本酒の科学 水・米・麹の伝統の技』
(和田 美代子著)
- 発売日:2015年09月18日頃
- 著者/編集:和田 美代子、高橋 俊成
- レーベル:ブルーバックス
- 出版社:講談社
- 発行形態:新書
- ページ数:320p
- ISBN:9784062579353
上記、参考書の他、Wikipediaなどを参考に致しました。